ジュゴン
今回は、住宅取得等資金の非課税特例の適用を受ける際に必要な書類について、私の事例にあわせて説明します。
そもそも「ヒカゼイトクレイのテキヨウ」とは何か、と思った方もいるかもしれません。
これは贈与税に設けられている贈与者、受贈者が得する特例です。
基本的に1年のうちに110万円を超える贈与があった場合、贈与税の申告・納付が必要となります。
逆に言うと、1年で110万円以下の贈与であれば、贈与税はかからないので申告は不要となります。
住宅を取得する際には、何らかの形で親などから援助がある場合が多いと思います。
そこで、税法上、住宅を取得する際に親(直系尊属)から資金援助を受けて、住宅取得にその資金を充てた場合、110万円超であっても一定額までは贈与税はかかりませんよ、という嬉しい制度があります。
それが住宅取得等資金の非課税特例です。
ちなみに、将来、相続税がかかりそうな方々は是非使っておきたい制度です。相続税の非課税枠も徐々に減らされてきているので、住宅取得の際に非課税枠で贈与しておけば、得しますからね。
- 住宅取得等資金の非課税特例の適用を受ける際に必要な書類
目次
住宅取得等資金の非課税特例を受ける要件
まず、この特例を受けるにあたっての要件をザっと見ていきましょう。
住宅の要件
新築住宅の要件としては、国内の住宅用家屋であることや、床面積が50~240㎡以下であることなどがありますが、一般的には該当するものがほとんどだと思います。
中古物件や一部テナント型の住宅などは、制約があるので注意しましょう。

受贈者の要件
受贈者は贈与者の直系卑属であることが要件です。
直系卑属とは、その人の子や孫など、直通する親族を指します。
なので、自分の親や祖父母からもらうことが要件ということです。
注意が必要なのは、子の配偶者は直系卑属には当たりませんので、義理の娘、息子に資金を贈与するのは対象外となります。
その他の要件として、20歳以上であることや、所得が2,000万円以下であることなどがありますが、一般的には該当する方がほとんどですので、イレギュラーなパターンだと思われる方は、要件を確認しておきましょう。

上限
消費税10%で購入した場合(省エネ等住宅)の非課税となる上限金額は次のとおりです。

これは、引渡日や入居日とは違い、契約の締結日が判断基準となりますので、ハウスメーカーや工務店と請負契約を結んだ日付を確認しましょう。
要件の詳細を確認する場合は、国税庁HPや説明用パンフを参照ください。
住宅取得等資金の非課税の適用を受ける際に必要な書類
本人(受贈者)の戸籍謄本

- 本人の氏名、生年月日
- 贈与者が私の直系尊属(親、祖父母)に該当すること
がわかる書類になります。
これは居住している市町村で入手できます。私のところは手数料が450円かかりました。
源泉徴収票

勤務先からもらう源泉徴収票を準備します。
ただし、所得税の確定申告で源泉徴収票を提出している場合は、コピーの提出で良いようです。
私の場合はそうでした。
新築住宅の工事請負契約書の写し

- 契約の相手方(工務店)
- 契約を締結した年月日
- 新築にかかる対価の額と消費税額
がわかる書類になります。
当初の契約後に仕様やオプションの変更に伴う変更契約を追加で締結すると思いますが、それも準備して、最終的に請負金額がいくらになったのか、がわかる書類が必要になります。
新築住宅の登記事項証明書
どこの法務局でも入手できます。私のところは1通600円でした。
そこに床面積や建築年数が明記されています。
省エネ住宅の証明書
住宅が省エネ住宅であれば、非課税の限度額が変わってきます。
贈与を受けた金額が多い場合は、省エネ住宅の方が限度額は大きいので、省エネ住宅であれば、そっちの方で申請したほうが得です。
省エネ住宅を証明する書類として、次のものが必要になります。
- 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し
- 住宅用家屋証明書の写し
入居後に工務店や市町村から送られてくるはずです。
以上が住宅取得等資金の非課税特例に必要な書類になります。
実際に私が準備した書類が、市役所に行って取得した戸籍謄本と、法務局に行って取得した登記事項証明書になります。
それほど手間はかかりませんでした。
補足①(申告手続き)
補足として、実際の申告はどうしたかというと、国税庁のホームページに贈与税の申告書を作成するページを使用しました。
QA方式で必要項目を入力していくと、申告書が出来上がっていくというシステムです。
自宅で入力、プリントアウトして地元の税務署に持ち込みました。
持ち込む際には、マイナンバーと本人確認書類が必要になりますので、お忘れなく。
私はマイナンバーカードを持ってなかったので、通知カードと運転免許証のコピーで対応しました。

整理券を入手して、指定された時間に再入場すれば、相談に乗ってくれる担当が待っています。
非課税の要件を満たしているか、必要書類は揃っているかを確認します。
そろっていれば、書類一式(申告書、添付書類)を申請窓口に提出します。
自宅で入力しているときはあっているか不安でしたが、税務署で担当に確認してもらったので安心しました。
思ったより簡単だったというのが感想です。
ちなみに110万円の住宅資金の贈与を申告しなかったらどうなるかというと、実際にはわかりませんが、
「税務署にはバレる」というのが定説のようです。
非課税の申告をせずに、贈与税が課されたらもったいないですから、親などから住宅資金の贈与を受けた際は非課税の特例を適用して申告しておきましょう。
補足②(住宅ローン控除との併用)
住宅ローンを組んで住宅を取得した場合は、「所得税申告」の方で「住宅ローン控除」というのがあります。
これは、住宅ローンの年末残高額を入居後の各年分の所得税額から控除するものです。住宅ローン残高×1%が軽減されます。
この住宅ローン(所得税)と今回の住宅取得等資金の非課税(贈与税)ですが、これらは併用して適用できます。
どちらも施主にメリットのある特例なので是非活用しましょう。
ただし、留意点があります。住宅取得等資金の金額は、住宅ローン控除を計算する際に取得対価から差し引かれるということです。
どういうことかと言うと、住宅ローン控除を計算する際には基本的には住宅ローン残高の1%を控除するのですが、取得対価の額がローン残高より小さいときは取得対価の1%が控除されます。
取得対価とは、請負契約の金額なのですが、住宅取得等資金の非課税を受けている場合、この取得対価(請負契約金額)から差し引かれます。
その分、取得対価が小さくなってしまい、住宅ローン残高の控除金額が少なくなるデメリットが発生する可能性があります。
例えば、取得対価(工事請負金額)が3,000万円だとして、2,500万円の住宅ローン残高があったとします。
親から1,000万円の資金援助があり、贈与税の非課税特例を適用していたとすると、取得対価は2,000万円(3,000-1,000)となり、住宅ローン残高2,500万円より取得対価2,000万円が小さくなるので、2,000万円×1%=20万円が所得税の軽減になります。
本来であれば、住宅ローン残高2,500万円×1%=25万円の軽減であるため、単年度で5万円のロスになります。

翌年以降も同じ計算ロジックですが、住宅ローン残高は返済して減っていくので、毎年100万円減ると仮定すれば、5年で本来の軽減額に追いつく計算になります。
個人的には贈与税(10%~)や相続税がかかるよりは、住宅ローン残高控除(所得税)のロスは小さいですので、住宅ローン控除と住宅取得等資金の非課税の併用をおすすめします。
まとめ
住宅取得等資金の非課税の適用を受ける際に必要な書類をまとめるとこのような感じです。
- 戸籍謄本 ※役場で入手
- 源泉徴収票
- 請負契約書の写し
- 登記事項証明書 ※法務局で入手
- 省エネ住宅証明書(省エネ住宅で申告する場合)
それから、住宅ローン控除と併用できるということです。あと、マイナンバーと本人確認書類も忘れずに。
ジュゴン