ジュゴン
「食品ロス」や「フードロス」「フードバンク」など、食の問題にかかわるキーワードを最近よく耳にします。今回はなぜそれらが注目されているのか、国内外でどういう取り組みがあるのか、家庭でできる取り組みは何か、などについてお伝えします。
- 食品ロスの仕組みとそれに対する国内外での取り組み
- 身近な家庭でできる取り組み
目次
食品ロス問題とは
飢餓の状況

地球上には約77億人がいると言われています。2018年には、そのうち8億2,000万人が十分な食事を取れていません。つまり、9人に1人は飢えに苦しんでいます。
特に途上国であるアジアやアフリカで深刻な問題となっています。アジアで5億人以上、アフリカで2.5億人以上が栄養不足になっています。
一方で、先進国では多くの食糧が作られていますが、飲食産業や家庭での消費の際に、たくさんの食材が廃棄されています。
具体的には、40億トンの食糧が毎年作られており、77億人の栄養を満たすには十分と言われています。世界規模で見ると、先進国に食糧が流れ、途上国に食糧が回っていない、というわけです。
世界の食品ロスが年間13億トンなので、3分の1が捨てられている計算です。日本での食品廃棄物は2,800トンで、うち300万トン近くが家庭から出ます。
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食品ロスの原因
先進国では、消費者ニーズを満たすため、事業者は多くの食材を準備します。それにあわせて農業生産や食糧の輸入も過剰気味になります。
消費者もお金を出せば、食材を買えますし、オモテナシの心も加担して「最低限必要な食材+α」を購入するようになります。
さらに家庭内では食品の期限切れによる食材廃棄や、食べられる部分の廃棄(皮のむきすぎ等)が発生しています。
これらが食品ロスを生み出している主な原因です。
国内外の取り組み

国内の取り組み
食品ロスを減らす取り組みとして、規格外商品を加工する方法があります。
我々がスーパー等で目にする肉、魚、野菜は、外観や食味など商品として「合格」したものです。「不合格」のものはこれまで廃棄されることが多かったのですが、例えば粉末にしてサプリメントに活用したり、液体にしてジュースにするなどの有効活用が進んでいます。廃棄していたものが売り物になるので、生産者にも喜ばれます。
「道の駅」などの農産物の直売所でも、形が不揃いの野菜等がリーズナブルな値で売られることも多くなりました。
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また、フードドライブとは家庭や企業で余った食料品を、フードバンク等に寄贈する取り組みです。そこから食事に困っている人たちへ配られます。
国外の取り組み
実は途上国でも食品ロスは起きています。
例えば、野菜を作ったものの、保管している間に害虫被害にあったり、保管期間が長く、腐ったりしています。
途上国ではこういった保管施設の整備や流通経路の構築が主な対策として進められています。
家庭で出来ること

家庭内での食品ロス削減
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- 消費期限:期限を過ぎたら食べない方がいい期限
- 賞味期限:美味しく食べられる期限
我が家でも実践していきたいと思います。①②は冷蔵庫や食品庫の在庫管理が求められるので、キッチンまわりの「整理収納」もあわせてやりたいと思います。
家庭内(子ども)の教育
お子さんがいる家庭では、食べ物の好き嫌いをすることがありますよね。食べ物を残してはいけない理由として次の3つを説明してはどうでしょうか。
なぜなら、人間の体は、口から入れた食べ物を分解し、吸収して大きくなるからです。偏った食事では体は大きくならず、健康に過ごせません。
例えば、ビタミン類は主に野菜や果物から取ることができますが、もしこれらを食べなければ、筋肉も付かず、すぐ病気にもかかります。
人間には好き嫌いがつきものですが、学校生活や社会では好きだからやる、嫌いだからやらない、というのは残念ながら通用しません。
学校や社会では嫌いなこともやらないといけないし、嫌いなものともうまく付き合っていく必要があります。食べ物を通して「嫌いなものとの付き合い方」を学びましょう。
世界はもちろんですが、実は日本でも子供のうち7人に1人は貧困(相対的貧困層)である、と言われています。
※相対的貧困層:可処分所得の中央値の半分に満たない世帯のこと
毎日、3食の食事が与えられることは幸せなことであり、食事を残すことは彼らにも申し訳ないことです。
まとめ
食品ロスの問題はグローバルな課題であり、各国が取り組みを始めています。
我々、1消費者には馴染みが薄いと感じられるかもしれませんが、一人一人が意識して行動していくことが課題の解決につながります。
事実を知ることで、意識と行動が少しずつ変わるのではないでしょうか。
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