2020年の住宅の省エネ基準【日本の住宅性能が改善されない理由】

ジュゴン

こんにちは、ジュゴンです。今回は住宅の省エネ基準についてお話しします

家づくりの情報を探していると、UA値がどれくらいとか、ZEH基準とかいろいろな数値が出てくるかと思います。

そもそも日本の住宅の省エネ基準はどうなっているのか、わからない方も多いかと思います。

そこで今回は省エネ基準のこれまでの経過と今後の流れを予測してみました。

住宅の性能に関心がある方は一度目を通して置いてくださいね

ジュゴン姫

この記事でわかること
  • 日本の住宅の省エネ基準とは
  • 日本の住宅性能が改善しない理由と今後の動向

これまでの住宅の省エネ基準

遅れをとった日本の住宅

戦後、日本の物づくりの技術は世界のトップクラスにあり、その中でも代表的なものが自動車や家電機器の分野でした。

一方で、住宅に関する性能や技術は世界に遅れをとっていました。

伝統的な木材を使った大工技術のことではなく、新興住宅における断熱材や窓サッシなどにかかる断熱性能などの省エネ分野のことです。

私も含めて、日本人の感覚は、古き良き日本の住まいかたを良しとする傾向にあります。

田舎の高床でわらぶき屋根があり、夏は通気性が良く、冬はいろりで暖をとるようなイメージです。

古い日本家屋のイメージ

その固定観念のような錯覚が日本の住宅の省エネ性能の進化を遅らせたのかもしれません。

また、サラリーマンにとって「家は帰って寝る場所」という高度経済成長期の特性もあったと思います。

さらに、日本人は我慢が得意だと言われていますので、多少の暑い、寒いは我慢と忍耐で乗り越えてきたのかもしれません。一種の美徳かもしれませんが。

ですが、今、日本も含めて世界は温暖化の道を突っ走っています。ここ30年で日本の平均気温は2℃上昇しているとも言われています。

昔ながらの家の通気性がよく、外壁に断熱材など必要なかった時代とは違います。

家の外壁等はしっかり断熱をとり、気密も確保することで、エアコンなどにかかる電気代を減らすことができ、地球にとってエコです。

また、室温の変化が少ないことが人の健康にも良いことがわかってきています。

下の絵は住宅の断熱性能基準に応じて、室内温度がどこまで下がるかを示しているイラストです。ちなみにWHOは人が健康であるためには最低室内温度が18℃であることを発表しています。

by 高性能の家づくりチャンネル(youtube)

平成25年基準の住宅の室内温度は10℃まで下がるとされていますので、大いに健康に影響を与える基準だということがわかると思います。

省エネ基準の制定

ただし、日本の住宅分野も何もしなかったわけではありません。昭和55年に初めて住宅の省エネ基準を定めており、その後も平成4年、平成11年と、省エネ基準の改正を行っています。

これらは「断熱等級2」「断熱等級3」「断熱等級4」と呼ばれていますが、残念なことにこれらの基準は「義務」ではありませんでした。

by ニチアス技術時報2013No.1
by ニチアス技術時報2013No.1

「任意」の基準だったからこそ、日本の省エネ基準は世界に遅れをとったのだと思います。

具体的に平成11年の省エネ基準を見てみます。この基準を出した当時、住宅で消費するエネルギー量を計算する技術が確立されていなかったため、とりあえず「断熱材を強化」することと、「日射遮蔽を設けて」消費するエネルギーを減らそうとしていたようです。

しかも、この基準は楽勝でクリアできるくらいのレベルであったことから、あまり意味のない基準だったと言われています。

そこから15年近くが経ち、ついに「平成25年基準」が施行されました。この基準の大きな特徴は「省エネ基準の義務化」です。

平成25年基準の改正内容 by 国交省住宅局

ちなみにこの時に断熱性能の算定方法がQ値からUA値に変更されています。

平成25年基準の改正内容 by 国交省住宅局

地域区分が6つから8つに分解されています。断熱性能がQ値からUA値に置き換わっていますが、性能的には同等の数値のようです。

だいたい、UA値を3倍したものがQ値と同じ水準だと認識しても良いでしょう。

平成25年基準に基づく地域区分と住宅性能 by IBEC

巨大なビルから小さな住宅まで、少しづつこの基準をクリアする必要があり、2020年までには住宅も適用が必須の基準となる、、、はずでした(結果、見送られています)

そして、平成25年基準のもう一つの大きな特徴は、住宅で消費するエネルギー量を直接規制していることにあります。

外壁の性能や設備機器の性能の種類や値をもとにエネルギー量を算定し、一定の基準以下にすることが求められています。

用語としては「設計1時エネルギー消費量」としており、単位はジュールで表されています。これにより燃費性能の悪い給湯機や暖房機が排除されることになりましたが、実際のところは「ある程度」の燃費性能を持ち合わせた機器であれば、基準を達成できていたようです。

平成25年基準施行時の説明内容 by 国交省住宅局

よくよく見てみると、結局「平成25年基準」は「平成11年基準」にある程度の燃費性能の機器を組み合わせたレベルのものだったようです。

  • 平成25年基準 = 平成11年基準+ある程度の燃費性能の機器

前に進んでいるのか、止まっているのか、よくわかりませんね。いずれにしても国は「本気」で住宅の省エネ性能を上げる気はなかったんだなと感じてしまいます。

それでも平成25年基準では甘すぎるということで、断熱の専門家や企業から構成されるHEAT20という団体が「G1」「G2」という家の断熱性能の推奨基準を提示しています。この辺りに来るとだいぶ、光熱費も抑えられ「真の省エネ」に該当すると思います。

G1、G2の断熱性能の推奨基準 by IBEC

よって、これから家を建てる方は、平成25年基準に収まらず、「G1」「G2」の性能を目指すことをお勧めします。

住宅の断熱性能に関してはこちらの記事でも記載していますので、ご覧ください。

住宅の断熱性能の話【あなたにあった断熱性能を】 築40年超の住宅のUA値を計算してみた【光熱費も公開】

住宅の省エネ性能が改善しない理由

先ほども次の点に少し触れましたが、住宅の省エネ性能が改善しない理由はいくつかあると思います。

  • 昔ながらの古き良き家の固定観念があること(断熱気密は悪)
  • 高度経済成長期においては、家は「帰って寝るだけの場所」であったこと
  • 日本人は暑い寒いに耐えられる人種(美徳)であったこと

理由その1:家にお金がかかってしまうこと

ジュゴン

さらに考えられることは、個人消費のウェイトが家にかかると、それ以外の消費が鈍ることです

個人的にはこれが本命なのではないかと思っています。

一般的には一生のうち最も高い買い物は住宅とされています。そして、自動車業界や金融業界、教育業界は住宅業界に大金が流れていくのを妬んでいたのだと思います。

ただでさえ、そのような状況ですから、住宅の省エネ性能を高めれば、自ずと住宅の価格は高騰し、さらに他の業界にお金が流れなくなるという構図になります。

業界団体はもちろん、その業界を支持母体とする議員等もよく思っていなかったのかもしれません。

とは言え、世界的に遅れをとっている日本の住宅の省エネ基準ですから、基準を改正、刷新して見かけ上は省エネ基準が向上しているようにしたかったのではないでしょうか。

理由その2:リピーターが極端に少ないこと

ジュゴン

もう一つの省エネ性能が改善しない大きな理由は、住宅業界は一生に一回しか家を購入しない特殊な環境下にあるということです

通常、商品やサービスの提供であれば、購入者はそれを使ったり、恩恵を受けたりして、次に使うときは違うのを選んだり、満足度が高ければ、同じものを購入するという、いわゆる「リピーター」という概念が存在します。

一方で、住宅業界は「リピーター」の概念がほとんど存在せず、購入者にとっては買ってしまって終わり、売る側にとっても売って仕舞えば終わりという関係になりがちです。

家を何度も建てられるお金持ちは別です。

さらに購入者は住宅に関する「素人」ですから、住宅性能の良し悪しなんてものは見分ける術を持ち合わせていません。住んでから初めて気づくか、下手したら比較対象がないため、気づかずに住み続けるということになります。

「リピーター」がないということは、業界内で競争の原理が働きにくくなります。あっても価格くらいでしょうか。

売り手は「売ってしまえば勝ち」なのです。仮に競争の原理が働いていれば、良い資材でもできるだけ安く仕入れ、低価格で売ろうとする心理が働きます。

省エネ性能が改善しないだけではなく、住宅の原価が下がらないということにも影響しているのだと思います。

今後の住宅性能の動向

ジュゴン

ですが、それもそろそろ限界に来ていると思います。個人が感じる、思う情報はすぐに発信され共有されます。このブログもそうです

個人が「住宅性能って大事」と発信し続けることが、購入者の知見を広げ、さらには住宅業界の競争を加速させます。

住宅業界の中でも「性能は大事」と思っている人が数多くいて、その方々も情報発信することで、購入者と業界の認識が変わりつつあると思っています。今(2020年)がまさにその転換期だと思います。

そういう訳で私もこのブログを通じて情報発信を続け、1人でも多くの購入者の知見が広がり、業界の方向性も変わっていくことを願っています。

微力かもしれませんが、その積み重ねが国にも届き、法律の改正にも繋がっていくんだろうと願っています。民主国家ですからね。

まとめ

ジュゴン

グダグダと書いてしまったのでまとめます
日本の住宅の省エネ基準
  1. 昭和55年、平成4年、平成11年、平成25年に省エネに関する基準が示されているが、どれもパンチ力が弱い
  2. 2020年に義務化される予定だった省エネ基準は見送られている

日本の住宅の省エネ性能が改善しない理由(あくまで主観)
  1. 昔ながらの古き良き家を良しとする固定観念(断熱気密は悪または不要)があること
  2. 高度経済成長期においては、家は「帰って寝るだけの場所」と認識されていたこと
  3. 日本人は暑い寒いに耐えられる人種(我慢や忍耐が美徳)であったこと
  4. 個人の消費のウェイトが家にかかると、それ以外の業界の消費が鈍ること
  5. 住宅業界は個人が一生に一回しか家を購入しない特殊な環境下にあること

今後の見通し
  1. 個人が情報発信する時代になり、住宅購入者、住宅業界の認識、方向性が「住宅性能重視」に流れつつある
  2. 2020年に義務化される予定だった省エネ基準もいつか施行されるかも
  3. さらにその先の省エネ基準が施行されることに期待

なお、今回の話は「エコハウスのウソ」を一部参考に記載しています。住宅の性能を学びたい方は必読の書籍ですね。

ジュゴン

これからも皆様に役立つ情報を発信していきます。今回は以上です
最後までありがとう!またね!

ジュゴン姫

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