ジュゴン
前回のブログで、住宅メーカーや工務店選びで迷うときに「建築レベルを判断する質問」を紹介しました。
1つ目が「耐震性能」に関する質問で、2つ目が「断熱性・気密性」に関する質問でした。今回は残りの3分野におけるキラー質問を紹介したいと思います。

- 住宅メーカーの建築レベル等がわかる質問
- その回答内容による判断
目次
窓の使い方に対する質問

前回の記事「断熱性」とも若干かぶるのですが、窓というのは住宅の断熱性能において、もっとも熱の伝導率が大きい部分です(夏は熱が入ってきやすい、冬は熱が逃げやすい)。
このため、性能のいい住宅を作るには、窓の性能や使い方が重要になってきます。「窓を制するものは住宅を制する」と私は勝手に思っています。
また、太陽の動きを読んで、住宅の向きに合わせて窓の大きさや高さを調節したり、窓の種類を変えることも快適な住環境にとっては重要です。
ジュゴン
- 窓ガラス、サッシは何を使っていますか?
- 方角によって窓の大きさや種類を変えていますか?
- 日射取得、日射遮蔽をどのように対策していますか?
ダメな回答
- 窓はコストのかからない単ガラス、アルミサッシを使っています。
- 方角にかかわらず、窓は大きくしてあり、眺望とデザインに自信があります。
- 夏は暑いので内カーテンでの対策を勧めています。
一般的な会社であれば、あり得ない回答です。気をつけましょう。
まあまあな回答
- 窓はペアガラス、アルミ樹脂複合サッシを使っています。
- 掃き出し窓が◯ヶ所、腰窓が◯ヶ所、使い勝手の良さを考えて標準でついています。
- 夏の暑さ対策として「日射遮蔽型」のLow-Eペアガラスを全窓に使っています。
複合サッシでも良いですが、地域や時期によっては結露リスクが高まります。窓の使い方は特段触れていませんが、オーソドックスな配置と大きさであれば、許容範囲でしょう。なお、全て日射遮蔽型にすると夏は涼しいのですが、冬は暖かくなりにくいです。
良い回答
- 窓は断熱性の高いトリプルガラス、樹脂サッシを使っています。
- 基本的に北、東、西の窓は小さく、南の窓を大きく取るようにしています。
- 南の窓は「日射取得型」と外付けブラインド、それ以外の窓は「日射遮蔽型」の窓を基本にしています。
トリプルガラス、樹脂サッシを標準で備えていると心強いです。反対にこれらをオプション扱いにしている会社は取引ロットが小さいので、若干、値が上がってしまうようです。
窓の性能については、こちらの記事で紹介していますので、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

太陽光発電・ZEH住宅の建築実績に対する質問

2020年の電気買取価格は21円/kwhとなっており、年々2〜3円ずつ下がり続けています。一方で、ソーラパネルは競争の原理や大量生産の優位性が働き、価格の下落と保証の充実が進んでいます。
そして、使用する光熱費は年々上昇傾向にあることから、これらも加味して損益分岐点を計算した上で、太陽光発電を判断できるかが重要となります。
また、国をあげて省エネ住宅である「ZEH住宅」をすすめていますが、この建築実績がどれくらいあるかで、その住宅メーカーの建築レベル、求める住宅性能がおおよそわかります。
ジュゴン
- 太陽光発電はした方がいいですか?しない方がいいですか?
- 年間のZEH住宅の建築実績(棟数、棟数割合)はどれくらいありますか?
ダメな回答
- 売電単価が下がっているため、採算があいません。やっても赤字です。
- ZEH住宅は年間数頭(20%以下)建てています。
太陽光発電を真剣に計算しておらず、ZEH住宅にも積極的でないところは要注意です。性能の良い住宅を建てる技術がないかもしれません。
まあまあな回答
- 売電単価は下がっているが、パネル代も下がってきてるので、損得は考え方次第です。
- うちの新築住宅の多く(約40〜60%)はZEH住宅となっています。
施主が太陽光発電を入れると言えばやってくれそうですが、住宅メーカーとして、もう少し分析した見解を持って勧めて欲しいところです。ZEH住宅を割と建てている方なので、技術は十分ありそうです。
良い回答
- 売電価格とパネルの投資額、光熱費の上昇等を比較すると、概ね十数年で元が取れる計算になっていますので、基本的には太陽光発電をすすめています。
- うちの新築住宅のほとんど(約70%以上)はZEH住宅となっています。
安心と信頼とはこのことです。
太陽光発電の計算方法については、こちらの記事で紹介していますので、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

アフターメンテナンスに対する質問

家は建てることがゴールではありません。その家でいかに幸せに暮らしていけるかが最も重要です。10年、20年、30年と時間が経てば、どんな家でも多少の損傷や汚れは付きものです。
そんなときに頼れるのが「アフターメンテナンス」。屋根や外壁の塗装、バルコニーの修繕、クロスやフローリング、畳の張り替えなど、結構な手間と金額がかかってきます。
定期的なメンテナンスセミナーのような施主ができることを、教えてくれる会社もあるようです。
ジュゴン
- アフターサービスはどうなってますか?
- 万が一、損傷があった場合はどうすればいいですか?
ダメな回答
- 何かあれば、私の携帯に連絡ください。いつでも、すぐに対応します。
個人ではなく、組織的な対応をお願いします。
まあまあな回答
- 定期巡回を行っており、10年保証を基本にして、条件によって20年の保証システムを備えています。
- 何かあった際は、◯◯サービス窓口まで連絡ください。なお、住宅履歴を管理しています。
一般的な内容だと思います。定期巡回は心強いですね。
良い回答
- 定期巡回を行っており、条件によって30年保証を基本にしています。また、住宅メンテナンスのマニュアルや動画を準備しています。
- 何かあった際は、◯◯サービス窓口まで連絡ください。なお、住宅履歴を管理しています。
保証が30年あれば相当安心できますね。親身で盤石な体制がわかります。
最後に
ジュゴン
当シリーズは、住宅メーカーのレベルをはかる質問ということで5分野でまとめました。
- 耐震性
- 断熱性・気密性
- 窓の使い方(日射取得、日射遮蔽)
- 太陽光発電、ZEH住宅
- アフターメンテナンス
これらは、住宅に関する基本的で重要な項目であると同時に、私たち住宅を購入する側も一定の知識と見解が必要なものです。
「知らなかった」ではすまないこともあります。大きな買い物なので、しっかり勉強して、いい住宅を建てましょう。
今回は以上です。