ジュゴン
住宅を建てるとき、または購入するときに、どの住宅メーカー、どの工務店を選べばいいか迷っていませんか?
私も含めて一般の方は、住宅のデザインや価格に目がいきがちですが、何十年も住み続ける家ですから、住む人の命を守るのはもちろん、外気温に左右されにくいなど、快適に過ごせる住宅選び、または太陽光発電等を含めた省エネの住宅選びが重要になってきます。
そこで今回は、そういう住宅の性能に着目して、住宅メーカー等の建築レベルを判断する質問をいくつかご紹介します。質問への回答内容で、住宅メーカーや工務店のレベルを判断する材料にしてみてください。
なお、私の個人的な見解と前提条件も含まれていますので、ご自身の感覚に引き直してご覧ください。
- 住宅メーカーの建築レベル等がわかる質問
- その回答内容による判断
目次
耐震性能をはかる質問

戸建住宅にとって、耐震性能は人の命にかかわる項目です。
耐震等級1でも震度7程度に対して住宅の倒壊は免れますが、2016年の熊本地震のように、本震と余震で震度7が2回来た場合は耐えられませんし、震度7を一度受けると、のちに住むことはできないほど損壊するでしょう。
よって、耐震等級3は備えましょう。
ジュゴン
- 住宅の耐震等級は標準では何を備えていますか?(耐震等級1〜3)
- その耐震等級は何に基づいて計算していますか?
ダメな回答
- 住宅によって違う(よくわからない)けれど、うちの住宅は地震に強い素材を使っています。
- うちは住宅の耐震等級は計算してないけれど、棟梁の腕がいいので大丈夫です。
- 耐震等級の計算は「壁量計算」でやっていて、「耐震等級3相当」を確保しています。
「壁量計算の耐震等級3相当」はダメです。やめておきましょう。
まあまあな回答
- うちは要望にも応じますが、標準では耐震等級2の住宅をつくっています。
- 耐震等級は「品確法に基づく性能表示計算」(または「許容応力度による構造計算」)をしています。
「要望にも応じる」と言っているので、耐震等級3が可能のはずですが、あえて2を標準にしているところに不安を感じます。人の命を考えるのであれば、等級3を標準にして欲しいところです。
良い回答
- うちは標準で耐震等級3の住宅をつくっています。
- 耐震等級は「品確法に基づく性能表示計算」(または「許容応力度による構造計算」)をしています。
耐震性に関しては間違いないですね。多くの住宅メーカー、工務店がこうなってほしいです。
質問するにも少し勉強が必要な方は、構造塾の佐藤実氏が丁寧に説明しているので、こちらを確認ください。
こちらも参考までにどうぞ。

断熱性・気密性をはかる質問

現在の住宅のトレンドは、必要なエネルギーを極力減らした「省エネ住宅」です。その際に重要となるのが断熱性と気密性です。
この性能が低いと、夏に外からの熱で室内が暑くなったり、壁などの隙間から室内の冷たい空気が漏れたりして、エアコンの消耗が大きくなります。冬には外気温に影響されて、また隙間風により室内が寒くなってしまいます。
日本の一般的な気候の地域(地域区分6〜7)では、断熱性を表すUA値は0.4W/(㎡・K)以下、気密性を表すQ値は1㎠/㎡以下であれば、良い性能と言えるでしょう。数値が小さいほど性能は上がります。
平均値ではなく最高値を聞いてもいいかもしれませんね。自動車で言う「燃費性能」が、住宅の「断熱性・気密性」と考えて良いと思います。
ジュゴン
- 過去に施工した住宅の平均的なUA値はどれくらいですか。(地域区分6〜7)
- 過去に施工した住宅の平均的なQ値はどれくらいですか。
ダメな回答
- うちはUA値、Q値は重要視してなくて、風通しの良い家づくりをしています。
- うちの住宅はUA値が○くらい(1.0以上)、Q値は○くらい(5以上)ですね。
異常気象が頻発する今の時代、日本の昔風の家は快適とは言えませんので、これくらいのレベルでは危険です。高気密高断熱を目指しましょう。
まあまあな回答
- うちの住宅はUA値が0.5〜0.8くらい、Q値は2前後がでています。
- うちの住宅はZEH基準を目処にUA値(0.6以下など)、エネルギー削減量を目指しています。
これくらいの数値では、あまり快適ではないと思いますが、まあまあの許容範囲といったところでしょうか。
良い回答
- うちの住宅はUA値が0.4以下を基本に設計し、Q値は1以下を基準に施工しています。
- うちの住宅はUA値が0.2程度、Q値は0.5程度を基準に施工しています。
UA値0.2は性能が素晴らしいのですが、そこにかかっている予算も確認しましょう。お住まいの気候等を勘案して納得のいくものであればOKです。
質問するにも少し勉強が必要な方は、松尾設計室の松尾氏がわかりやすく説明しているので、気密性に関してはこちらを確認ください。
断熱性に関しては、こちらを参考までにどうぞ。

最後に
ジュゴン
ボリュームが多くなるので、次回、残りの3項目のキラー質問を説明します。
なお、これらの質問は唐突にしても住宅メーカー側が「業界関係者か?」と警戒するかもしれませんので、自然な会話の流れで、質問内容を盛り込むようなやり方をしてくださいね。
今回は以上です。